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トムとサンタクロース


トムはサンタクロースからのプレゼントを楽しみにしてずっと待っていた。
朝起きるとクリスマスツリーの下にプレゼント箱が3つほどあったのでトムはとても喜んだ。
窓からサンタが中を覗いているのが見える。

サンタはニタニタと笑いながらトムを見ている。

トムはニタニタ笑っているサンタを見て少し不機嫌に思いながらも
プレゼントの置いてある所に行った。
トムはまず一つ目のプレゼントを手に取った。

サンタは更にニタニタと笑っている。

プレゼントの箱を空けると中から長ズボンが出てきた。
トムは少しがっかりしたような表情をしながらも次の箱を手に取った。
サンタは腹を抱えて笑っている。

二つ目の箱を開けると中からサッカーボールが出てきた。
トムはますます不機嫌になり、とても腹が立った。

トムは続けて一番大きな最後の箱を開けた。

すると中から自転車が出てきた。
サンタは雪の上を転がりまわって笑っている。
トムはとうとう耐え切れなくなって泣き出してしまった。










【解説】  トムには足がない。 

有名な知能テストだそうで、2度目で理解できたらIQ1103度目でIQ105
3
度目で判らなければ平凡、ということらしいです。真偽の程は不明です。

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家族

「おい、まだかよ?」
俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。
「もうすぐ済むわよ。そんなに急ぐことないでしょ。・・ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」
確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がないな。
今年もあとわずかだ。世間は慌しさに包まれていた。
俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしらね?」
「なあに、孫の顔を見た途端にニコニコ顔になるさ!」
俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。

「お待たせ。いいわよ。・・あら?」
「ん、どうかしたか?」
「あなた♡、ここ、ここ」
女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。
「あっ、忘れてたよ」
「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて♡」
「あなた・・愛してるわ♡」
女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。

「何だよ、いきなり♡」
「いいじゃない、夫婦なんだから♡」
女房は下を向いたままだったが、照れているようだ、かわいい奴♡。
「そうか・・、俺も愛してるよ♡」
こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだっただろう。
少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。俺は、女房の手を握った。

「じゃ、行くか」
「ええ」

俺は、足下の台を蹴った。









【解説】  バタバタしていた息子が、次の場面では横になっている。

そして俺は最後に足下の台を蹴る

そう、これは一家心中する家族の様子を描いた話なのだ。

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パチンコ玉


とてもうるさい店だったので、その男は耳栓替りにパチンコ玉を左右の耳に詰めた。
ところがあまりぎゅうぎゅう耳の奥に詰め込んだので、抜けなくなった。
耳掻きで取りだそうにも、耳掻きを入れる隙間もない。

そこで男は、知人が勤めるある企業の研究室を訪れた。
以前、そこの研究室に実験用に超強力な電磁石があるという話を聞いていたからだ。

知人は呆れ返り、

「はっはっは。バカなやつだなぁ。まぁいい。うちのは無茶苦茶強力な磁石だから、
簡単に抜けるよ。そこのところに耳をつけて」

男は装置の磁石の所に、まず右の耳をつけた。

知人が電磁石のスイッチを入れる。

言葉どおり、その磁石は超強力で、パチンコ玉は瞬時に磁石に引き寄せられ、
カキーンカキーンという衝突音が研究室に響き渡った。








【解説】  カキーンカキーンという音は、反対側のパチンコ玉が脳を突き破り、もうひとつの玉に当たり、頭の中に響きわたった音。
死んだかもね、グロい。

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雑居ビルのエレベーター


運送会社の配達員をしていた頃の話。いつも通り昼間の配達に回っていた。
それは繁華街の路地裏にある、築うん十年も経ってるであろう
古くて人気もない雑居ビルに行った時のこと。

真夏だったし割と上階へ登らなければいけなかった為、
つい怠けてエレベーターを使おうとした。

ボタンを押すと、すぐ扉は開いた。
と、突然女性が酷い顔をして「うわあああ」狂った様に叫びながら飛び出してきて、
思わず後退りした。

その女性はそのまま繁華街へと走って消えた。

何だろう、酷い事でもされたか?ラリってるのか?
こんな湿っぽい雰囲気のビルだ、中で何やってるかわからない・・。
恐る恐るエレベーター内を覗いて確認するが何も無い。

階段から人が降りてくる気配も無い。
不気味だな、さっさと荷物置いて出よう。

そう思いながらエレベーターに乗った。

荷物の宛先は8階。

おかしい。

ボタンがひとつしかない。







【解説】  ボタンが一つしかない  「閉」しかない  外からしか開けられない
外の人がエレベーターを開けない限り、中の人は出られない。

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クローバー


最近、近所で連続殺人事件が起きている。
被害者は全て同じ小学校の子供です。
その犯行はとても残虐で、死体は見るに耐えないカタチになっているという。

事件現場に供えられた沢山の花たち。

しかしその中にクローバーが大量に供えてある。
他の現場でも必ずクローバーが大量に供えられている。
どうやら、あるお婆さんが供えているらしい。

歳は80といったところだろうか。

とても温厚そうなお婆さんで涙は見せず、優しい笑顔で花を供え、手を合せて帰っていきます。
亡くなったのはお孫さんなのだろうか。知り合いの子供さんなのだろうか。
私も花を供えにと思い現場へ向かうと、ちょうどそのお婆さんと会った。
お婆さんはいつものようにクローバーを供えている。

「何故クローバーを供えているんですか?」

「クローバーって、四葉とかあったりして幸せな花じゃない?
向こうでも幸せにしてほしいって意味を込めてるのよ。」

そう答えるお婆さんは、とても優しい目をしていたが、時折切ない表情も垣間見えた。

「実はね、私の孫も亡くなってしまったのよ。別の事件なんだけど、学校の事故で。
詳しい事はまだわかっていないらしいんだけどね。
この殺人事件で亡くなった子達、孫ととても仲良くしてくれてたらしいのよ。
だからこうして、全員にクローバーを供えているの。」

涙しながらそう話すと、お婆さんはその場を去っていった。
こんな優しいお婆さんもいるんだなという思いにふけりながら帰宅した。










【解説】  クローバーの花言葉は復讐だそうです。

婆が犯人ということ。

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