[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
家族
家族
「おい、まだかよ?」
俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。
「もうすぐ済むわよ。そんなに急ぐことないでしょ。・・ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」
確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がないな。
今年もあとわずかだ。世間は慌しさに包まれていた。
俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしらね?」
「なあに、孫の顔を見た途端にニコニコ顔になるさ!」
俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。
「お待たせ。いいわよ。・・あら?」
「ん、どうかしたか?」
「あなた♡、ここ、ここ」
女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。
「あっ、忘れてたよ」
「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて♡」
「あなた・・愛してるわ♡」
女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。
「何だよ、いきなり♡」
「いいじゃない、夫婦なんだから♡」
女房は下を向いたままだったが、照れているようだ、かわいい奴♡。
「そうか・・、俺も愛してるよ♡」
こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだっただろう。
少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。俺は、女房の手を握った。
「じゃ、行くか」
「ええ」
俺は、足下の台を蹴った。
【解説】 → バタバタしていた息子が、次の場面では横になっている。
そして俺は最後に“足下の台を蹴る”。
人気ブログランキングへ
PR
COMMENT
プロフィール
HN:
No Name Ninja
性別:
非公開
カテゴリー
最新記事
(04/01)
(03/24)
(03/24)
(03/24)
(03/24)
P R