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ヒッチハイク
「やれやれ、乗せてもらえて助かりました」
青年はナップザックを背中から降ろして、
エアコンの効いたパトカーのハンドルを握っている、保安官の隣の助手席に乗り込んだ。
「まさかパトカーをヒッチハイクしたからって、逮捕されたりはしないですよね?」
「今日はな」
保安官が答えた。
「それほど暇じゃないんだ」
青年はほっとしたように笑みを浮かべた。
そしてナップザックからチョコレートバーを取り出すと、
それをパキンとふたつに割って、保安官に差し出した。
「いや、結構」
アクセルを踏みこみながら、保安官が答えた。
「誰かを追跡でもしているんですか?」
「ついさっき、ファーストナショナル銀行が4人組の強盗に襲われてな。黒いセダンで逃走したんだ」
「えっ」
ヒッチハイカーは驚いた。
「ほんの10分前に黒いセダンをみましたよ。それも4人の男が乗っていました。
もう少しで轢かれるところでしたよ。1時間も待って、ようやく通りかかった車だったのに。
でも、その車は左に曲がって西に向かいましたよ。北じゃなくて」
それを聞いた保安官は急ブレーキをかけて、車をUターンさせた。
青年はオレンジの皮をむき始めたが、皮はきちんと紙袋に入れていた。
「今日は日陰でも摂氏30度近くはあるだろう」
「そうでしょうね」
ヒッチハイカーも頷いた。
「あれ、曲がり角を通り過ぎましたよ。どこに向かっているんです?」
「警察署さ」
保安官がぶっきらぼうに答えた。
【解説】
日陰でも摂氏30度近くはあるのに、1時間近くパトカーを待っていた青年。
そのリュックに入っていたチョコレートバーが溶けていない。
つまり青年の言っていることはウソ。
犯罪に関わっている可能性が高い!
悟史から魅音に電話だった。
魅音は詩音に代わりに出るようにさせる。
詩音(どうしたんですか?)
悟史(魅音、明日は綿流しの祭りだろ、僕はちょっと用事で行けないけど、さとこは祭りで楽しんでもらいたいんだ。
だから、さとこのこと頼んでいいかな?)
詩音(大丈夫です。用事って大事なことなんですか?)
悟史(さとこのこと頼んだからね・・・。)
そして、悟史君は綿流しの晩に失踪してしまった。
魅音(さとしくん、どこいちゃったんだろうね・・・?)
詩音(そうだ、探偵を雇いましょうよ。)
そうして詩音が雇った探偵がすべての真相を暴きだした。