[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
彼女からの電話
昨晩、飲みすぎたせいか、どうやら寝過ぎてしまったようだ。
しかし今日は代休で休み。
人が働いてるときに休みなんてちょっとした優越感を感じながら、
重たいまぶたをこすりテレビをつけた。
テレビに目を向けると、司会者と観客の
「それではそろそろお友達を…」
「え~」
といつものやりとりが行われていた。
「さて今日は何をしようかな…」
と独り言をつぶやいたときに不意に携帯が鳴る。どうやら彼女からの電話のようだ。
「もしもし…」
「あ、おはよう。今日、行きたいところがあるから、一緒に行ってもらっても良い?」
そう言えば、前にもラーメン屋に1人で入るのが恥ずかしいとか言って付きあわされたっけ。
その日は特に予定も無かったので、二つ返事でOKした。
「ありがとう。じゃあ、今晩部屋まで迎えに行くから待っててね」
そう言うと彼女は電話を切った。
しかし酷い二日酔いだ。先程起きたばかりだが、耐えきれず俺は再び横になった。
誰かが喋ってる声で目が覚める。どうやらテレビを点けたまま眠ってしまっていたようだ。
テレビでは午後のワイドショーがやっていた。その番組を見た途端に眠気が一気に吹き飛んだ。
どうやら今朝に大規模な列車事故があったようだ。しかも俺がいつも利用している路線だ。
「もし今日、休みでなかったら巻きこまれていたのでは…」
そう考えたら背中がゾッとする。テレビでは犠牲者の名前が読み上げられていた。
そして1人の名前を聞いたとき、全身の血が凍るような感覚を受けた。
彼女の名前がそこにあったのだ。
ひょっとしたら同姓同名かも。
俺は祈る様な気持ちで彼女の携帯に電話をかける。だが無情にも
「おかけになった電話番号は、現在電波の届かない場所にあるか…」
何度も何度もかけても彼女の携帯には繋がらない。全身に絶望が襲いかかる。
そんなときに携帯が鳴る。
「彼女からだ!」
俺は慌てて携帯に出る。しかし電話の向こうは彼女の妹だった。
「……もしもし……姉さん……死んじゃった……。
一番被害が酷かった一両目に乗ってたらしくて即死だったって……。」
その後、電話を切った俺は放心状態でしばらく動けなかった。
しかし冷静になるにつれ、彼女のことで頭が一杯になる。
昨日まであんなに元気だったのに。今日電話で話したのに。
今晩一緒に出かける約束をしたのに。
膝から崩れ落ちると、俺はたまらず号泣した。
【解説】
事故があったのは今朝。
しかし彼は、番組の友だち紹介のコーナーのときに起床している。
番組は昼からで、コーナーは遅くとも12:30過ぎ。
つまり彼女から電話があり、約束をしたのは午後ということになる。
今朝死んだはずの彼女は、今晩、彼をどこに連れていくというのだろうか。
大石(まあ、圭一君の傷害事件は事故ということで解決しそうですな。)
さとこ(に~には?)
魅音(で詩音、悟史に見せるように言ってどうなったの?走って逃げちゃったの?)
詩音(照れてる感じはしたけど、走って逃げるようなことはなかったよ。
その後ドライブして私の運転がうまくなったのを見せた後で突然、叫び出して走っていってしまったの・・・。)
大石(まあ、車の件は厳重注意ということにして、現場を見せてもらえませんか?)